更新日 2014.1.22
つぎに、昭和5年に発行された、上方の左右に「型録第二」「第二版」とあり、中央に6吋で重錘式運転時計の付いた据付型屈折赤道儀のイラストがあり、その右側に縦書きで「五藤式 天体望遠鏡」、左側に「優良二枚合成色消対物鏡使用」「太陽像及顕微鏡像投映機付属」とあるカタログを見てみましょう。
↑(写真)昭和5年発行のカタログ
6インチ屈折赤道儀の四角いピラーのペデスタルのところに、何やら箱のようなものが3つ置いてあります。
↑(写真)ペデスタル付近に置かれた3つの箱
右側の大きな箱は、明らかに接眼鏡の格納箱です。また、その手前の上に線の伸びた小さな箱は、ガイディングスコープの明視野照明用の電池ボックスです。そして、ピラーの左側の箱が、どうやら「太陽投映機」のようです。
↑(写真)三吋天体望遠鏡と四吋天体望遠鏡の説明文
四吋天体望遠鏡の説明文に、
「又本機及三吋に付属の太陽黒点及顕微鏡像投映機は平面反射鏡を有する大型高級品にて映写像は径4米迄拡大可能なり。」とあります。また、付属品のところに、「学術用高級太陽像及顕微鏡像投映機」とありますので、プリズム式と区別するときには、ミラー式のものを「高級太陽投映機」と呼ぶことにします。
さて、雑誌広告の方はどうなっているでしょうか。最初に現れるのは、『科学画報』の昭和3年(1928)8月号です。
↑(写真)『科学画報』昭和3年8月号とカリスト号の広告ページ
五藤齊三著の『天文夜話』によれば、最初に開発された色消レンズを用いた天体望遠鏡は、「ウラノス号」「アポロン号」「ダイアナ号」の3種とされています。しかし、この雑誌広告にある、口径が38mmの「カリスト号」も同じ時期に開発されたものと推測されます。
「天体地上両用望遠鏡」と題し、「最新科学の粋を網羅して新鋭機遂に完成!」とあり、「遺憾なく装備されたる付属品の数々を見よ!!最早如何なる観測にも、貴下は不自由を感ずることなかる可し」とあります。また、太陽投映機は「太陽投映並プレパラート投写機兼用地上接眼鏡」と説明されています。
↑(写真)カリスト号の写真
カリスト号の雑誌広告に掲載された写真ですが、格納箱の上に、太陽投映機が置かれています。これは、明らかにプリズム式ですが、以前紹介したものよりも長さが長いようです。これまで、完全なものは見たことはありませんが、下のようなものと推測されます。
↑(写真)太陽投映プレパラート投写機兼用地上接眼鏡
ただし、この写真のものにはプレパラートを入れるところがありませんので、組合わせ方を間違えているものと思われます。
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