連載 星夜の逸品 -児玉光義-

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1インチ望遠鏡の「甲号」 13/22
~天文趣味民衆化の爲め大量生産廉價提供~

更新日 2016.5.23

1インチ望遠鏡「甲号」の鏡筒(2)

≪対物レンズ部≫

「対物レンズ部」ですが、「乙号」のものは木製ですが、「甲号」のものは、対物レンズ枠と鏡筒枠が一体となった鉄の鋳物でできていて、重さは547gです。

(写真)対物レンズ枠兼鏡筒枠、対物レンズ、対物レンズ押え

↑対物レンズ枠兼鏡筒枠、対物レンズ、対物レンズ押え

従って、対物レンズ部は、対物レンズ枠兼鏡筒枠と対物レンズ、対物レンズ押えの3つがあるだけです。

(写真)1インチ望遠鏡「甲号」の対物レンズ部

↑1インチ望遠鏡「甲号」の対物レンズ部

「甲号」の対物レンズは、鏡径が28mmで、焦点距離が800mmの単レンズです。一見平凸レンズのようですが、微かなアールがついているかも知れません。外装は、黒の半艶塗装です。

(写真)対物レンズ部の各部の名称

↑対物レンズ部の各部の名称

対物レンズについて、五藤齊三氏の『天文夜話』に、「最初は日本光学に頼んで三十ミリの単レンズを有効径二十五ミリ(一インチ)FL八百にして使った。」とあります。このまま解釈すると、鏡径が30mmのレンズを有効径25mm、焦点距離800mmにして使用したとなりますが、測定したところ、「甲号」の対物レンズの鏡径は28mmでした。

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